アワード2024
新着情報
審査結果
応募総数528作品の中から、
受賞作品が決定いたしました。
応募総点数 : 528点
ファイナリスト作品 : 16点
受賞作品
大賞
100万円
サンゲツ社員賞
5万円
- ※最終選考に残ったファイナリスト作品から
サンゲツ社員がそれぞれの視点で
魅力を感じた作品を
投票で選ぶ賞
『サンゲツ社員賞』を1作品設けています。
『 PACROUGH block 』
株式会社坂井印刷所
金丸 萌・吉田 大貴



受賞者コメント
金丸 萌:日々自分が向き合っている仕事から着想し、非常にスモールな発想からできた作品です。実際にサンプルを作っていく過程で良いビジュアルになっていき、納得できる作品として出せたこと、そしてそれを評価していただけたことが本当にうれしかったです。今後も、自分が向き合っている素材や制作環境、業界について考えながら、ものづくりに取り組んでいきたいと思います。
吉田 大貴:金丸さんに声をかけてもらい、コンセプトがすでにある段階から制作面で協力しました。 審査の中で頂いた、コストや手間がかかるというご指摘は、実際に作品を作りながら体感していた部分でした。今回このような賞を頂き、自信につながりました。今後もエコロジーについてしっかり考えながら、業務であるパッケージ制作に取り組んでいきたいと思います。
審査員コメント
- 山﨑 健太郎
- ものを作ろうとするとどうしても洗練に向かい、この金色の粒のような混ざったものが許せなくなってくることがある。しかしこの作品はそれが入っていることでさらに良くなっている。やはりデザインとは総体なのだなと。
- 座間 望
- インテリアデザインを考える際、私は常に、その場所や環境に根ざした“長く愛される空間”を創ることを意識しており、この作品は、日常の具体的な疑問を形に変換した際の美しさを追求し、そのすべてが詰まったものだと感じた。
- 森本 千絵
- 誰かが誰かのために作った印刷物が、時を超えて合わさり、また新しい誰かのための形になるというストーリー。そしてそれを考えざるを得ない立場の作者たちが作ったというリアリティ。完璧だと思う。
- 安藤 北斗
- ビジュアル面でいえば、それほど目新しいとは思っていない。しかし、印刷会社で働く二人がそこに課題意識を持って取り組んだという点を評価したい。彼らが作ることに必然性があり、廃棄される紙に対しての「愛」を感じる。
- 近藤 康正
- 紙パッケージは、言葉を選ばずに言うと使い捨てになってしまうもの。それを、長期間使い続けることが前提である「壁」に変換するという発想が非常に良い。審査員の評価とサンゲツ社員の評価が一致した素晴らしい作品。
優秀賞
50万円
『 うみのカケラ 』
北村 さくら



受賞者コメント
このような光栄な賞を頂くことができ、夢のような気持ちです。私は今回、なでられることを想定した壁面を提案しました。そういった原始的な感覚、本能的な感覚のようなものを、大人になっても忘れないでほしいという思いがあります。また、自分自身も忘れないようにしたいです。4月から社会人になるのですが、最高の就職祝いを頂いた気持ちです。
審査員コメント
- 山﨑 健太郎
- 動かしている時もいいが、閉じている時のさらっとした感じも内装材として優れている。触れたくさせるのが狙いだと思うが、やはりテクスチャーのある壁面というのは良い。スケール操作も優れていた。
- 座間 望
- 人と空間とのつながりを考えるとき、視覚以上に触感が人の記憶に残り、感動へとつながると言われる。その観点から、この作品には、人の手で作られた温かみや直観的な感覚があり、それが人から人へ伝わると感じた。
- 森本 千絵
- 人工物にも関わらず、まるで本物の海のかけらのよう。実際に触れると、自然界のものに触れているような本能の喜びを感じた。それを形にして伝えてくれた情熱と、応募への愛情や作家としての意志に感動した。
- 安藤 北斗
- 作品も設定も素晴らしかったが、何より自分たちが実際に触ってみて、とにかく楽しかった。きっと作者もワクワクしながら作ったのだろうと感じる。作者の感情に素直に共感でき、心にすっと入ってきた作品。
- 近藤 康正
- コンセプトに裏付けられたものづくりをしているところが素晴らしい。優れた作品が数多くある中、その点が特に優れており、受賞に至った。
コミュニケーション賞
15万円
『 対話する壁
/Dialogic Wall 』
A+M
阿蘓 俊博・瀧澤 仁奈子


受賞者コメント
阿蘓:私たちは、壁の面というよりも、裏側まで波及するようなデザインを最初からしていこうという立ち位置で挑みました。評価していただき、とてもうれしく思います。
瀧澤:プレゼンやディスカッションなど、人と干渉し合うのは衝突もあり、幸せなことだけではありません。でも、あえて干渉し合って真に幸せになるというシーンを思い描いて取り組みました。それがコミュニケーション賞という形で評価していただけて、大変うれしいです。
審査員コメント
- 安藤 北斗
- 余計な要素が一切なく、壁の向こう側の人と手前側の人とのコミュニケーションに特化したアイデアだなと。物の捉え方や視点が圧倒的にユニーク。
ドリーム賞
15万円
『 いぬ 』
株式会社ライドウェイブ
矢冨 忍・田口 雅浩・大宮 あずさ


受賞者コメント
私が今身につけている派手なスカートの柄は、田口が描いた絵です。それなに?といったツッコミからでもいいので、そこからコミュニケーションが生まれて障害者の方への理解が進んだり、適切な支援が始まったりするきっかけになればと思っております。この先もアート制作を進めていきたいと思います。本当にありがとうございました。
審査員コメント
- 山﨑 健太郎
- デザインというのは、総体のようなものだと思った。誰かが何かに気づき、反応し、デザインができていくという過程がまさにドリーム。お三方が活動されているような状況が生まれることって、本当に夢みたいだと思った。
アイデア賞
15万円
『 WALLSCAPES −お隣さんと積みあげる尾道の未来− 』
谷 卓思・岡本 一希・岡崎 友洋


受賞者コメント
谷:大変光栄です。ありがとうございます。わたしたちはコンペを通して壁のあり方、地域のあり方を模索してきました。その結果、賞を頂けてありがたいです。
岡本:ありがとうございます。この活動を通して、地域に対する熱意を持って制作できたことは非常に大事なことでした。今後にも生かしていきたいと思います。
岡崎:普段は建築の勉強をしています。今回、街との向き合い方や、自分たちでテーマを見つけてデザインする楽しさというのを深く感じました。ありがとうございました。
審査員コメント
- 森本 千絵
- アイデアひとつで未来の壁に関する考え方や多くの人に影響を与え、変えていく、大切な種ともいえる作品。壁という概念や考え方が、街や人とのつながりを作っていけるかというところを、できる範囲で具体化していて、希望を感じるアイデアだった。
作家賞
15万円
『 Light waterfall 』
Daniel Campbell


受賞者コメント
心から感謝いたします。今、とても幸せです。私は毎日制作をするのですが、実は怠け者な一面もあります。でも、これからもこういった賞に参加してみたいと思います。
審査員コメント
- 座間 望
- 多くのコンセプトに基づいた作品とは対照的に、この作品からは強い『作家性』を感じた。理論や根拠に縛られず、”自身の赴くまま”に生まれた作品の持つ力は、審査においても今後も大切にしていきたいと思う。
ファイナリスト賞
各2万円
『 EVERY DAY 』
磯村 直誠

- 審査員コメント
- ”具体的な何か”ではなく、自身が過去に感じたものをもとに、伝統的な日本家屋の壁を思わせる新たな表現の壁を生み出した点が素晴らしい。(座間)
審査員総評

山﨑 健太郎
株式会社山﨑健太郎デザインワークショップ代表/建築家/工学院大学教授
世の中には洗練されたデザインが数多くありますが、自分自身、もはやそういうものを見ても感動しなくなってきています。では、どういうクリエイティブに心を動かされるのか。今回のサンゲツデザインアワードでは、そこを考えるべきだと思いました。難しかったのは、素朴で誠実な人が作ったという点で作品を評価しているのではないかということです。しかし、作者の人柄や背景といったストーリーそのものに感動したのではなく、やはりそれらが“ものに表れている”という点に心が動いたのだと思います。ストーリーが表れたディティールにこそ、エネルギーがあった。今回の作者たちが語るコンセプトが具体的だったのは、常日頃から自分ごととして考えていることの延長にある言葉だったからでしょう。今回のアワードで拾い上げた言葉や感性、哲学のようなものは、今後サンゲツさんが社会へ向けて打ち出すメッセージにも乗せていけたら良いのではないかと思います。

座間 望
ZA DESIGN Inc.主宰/インテリアデザイナー
私は3年間にわたり審査員を務めさせていただく中で、毎年、作品の傾向が異なると感じてきました。初年度はコロナ禍の影響もあり、「自分」や「自然」と対話するテーマの作品が多かったように思います。2年目は、テーマが「壁紙」から「壁」へと広がったことで、平面の枠を超え、素材感のあるものや間仕切りの要素を取り入れた多様な表現が見られ、審査する側としても楽しめました。さらに今年は、ポスターによる投げかけに呼応するように、作品や作者の多様性が一層深まっていることを実感しました。特に若い作者の作品には、社会性や将来性を感じさせるものが多く、非常に感慨深い審査となりました。また、改めてものづくりにおいては、背景やストーリーに加え、作り手の素朴な疑問や想い、そして自信が加わることで、より深みのある表現となり、それが感動につながるのではないかと考えました。サンゲツデザインアワードが、そうした才能を評価し、将来性のある方々を発掘し続ける場であり続けることを願っています。

森本 千絵
株式会社goen°主宰/アートディレクター/クリエイティブディレクター
私は今回、募集ポスターの制作から関わらせていただきました。昨年度、サンゲツデザインアワードのテーマが「壁紙」から「壁」に変わりましたが、それを受けてさまざまなことを考えながら制作に当たりました。壁に隔てられることで自分と他者が存在するということ、壁の存在理由、そして壁が持つポジティブな可能性など。そうして生まれた「昨日とは違うその壁を超えていく」というメッセージに呼応するように、コミュニケーションという観点を持った作品が多く見られました。自分が壁の前に立ち、その壁越しに誰を幸せにしたいのか。そこが明確な作品に心が動きました。その作者からしか生まれない「愛」や「ピュアさ」は、私たち審査員にも生み出せないものですから。クオリティだけではなく、新たなアイデアが誕生することが大切なので、それを見ることができた良い審査だったと思います。今回の受賞作品が次の受賞作品を生み出していくと思うと、来年がますます楽しみです。

安藤 北斗
we+共同主宰/デザイナー/武蔵野美術大学准教授
審査のなかで「“あざとさ”と洗練」というキーワードが出ましたが、今回のサンゲツデザインアワードでは整えられたアイデアや、意匠だけの作品は逆につまらなく感じてしまいました。荒削りでも、その作者にしかできないアプローチだったり。当事者意識のあるコンセプトに強く共感しました。デザインのクオリティやものづくりの精度はもちろん重要ですが、それ以上に「その人が作る必然性」がある作品が強かったように思います。また、一般的な「壁」という概念を超え、人の心にどう訴えかけ、共感を得るのかというところを考えたプレゼンテーションが多かった印象です。プレゼンテーションを通してファイナリストの作品を深掘りしていくことで、「あ、こんなことを考えていたんだ」という気づきがあり、そこに自分の感情が乗り移っていく体験が非常に面白かったです。今後も、単に洗練された作品ではなく、誰かのための正直なデザインや、欲のない、ワクワクするような作品を見ていきたいと思っています。

近藤 康正
株式会社サンゲツ代表取締役 社長執行役員
※審査委員長
今回のサンゲツデザインアワードでは、1121件という過去最多のご応募をいただきました。実際にご提出いただいた528点の作品のうち、学生の応募が35%、外国人の応募が10%を占めていました。障がいがある方の応募もあり、見事受賞を果たしました。今後のアワードには、さらなる多様性の広がりを期待しています。
私が大切にしていることの一つに「社会価値」があります。ファイナリストの作品の多くが、社会課題の解決につながるテーマとなっていて、こうした考え方は企業活動のプロセスに入れていかなければならないと思います。世界的に弱肉強食・強欲が横行していて、うんざりしつつも、ビジネスではそれに向き合わざるを得ない面があります。そのような中で、人に寄り添うことをテーマに制作された作品等に触れることができて、目が覚める刺激を受けました。社員皆さんにおいても、社会に対する課題意識を深めるきっかけにしてほしいと思います。
イベントレポート
2025.3.6
最終審査会&セレモニーを執り行いました。
最終審査会&セレモニー ダイジェストムービー
最終審査会&セレモニー レポート
8回目の開催を迎えたサンゲツデザインアワード。今回新たに、アートディレクター、クリエイティブディレクターとして活動する森本千絵さんと、武蔵野美術大学准教授を務める、デザイナーの安藤北斗さんが審査員に加わりました。さらに、昨年4月に当社社長となった近藤康正が、自身初となる審査員長に就任。審査員の森本千絵さんが募集ポスターの制作を手掛け、過去最大数の応募が寄せられました。

2025年3月6日、サンゲツグループの価値創造拠点である、東京日比谷「PARCs(パークス)」にて、最終審査会およびセレモニーが開催されました。
募集対象が“壁紙のデザイン”から“壁面のデザイン”に拡大して2回目となった今回のアワード。ポスターの呼びかけに応えるように、オリジナリティあふれる幅広い作品が集まり、多様性が広がりました。

16組のファイナリストがプレゼンテーションを行うと、審査員は間近で作品を確認したり、質問を投げかけたりと、熱心に審査を行いました。



審議では、作品の完成度や美しさはもちろんのこと、その作者が作ることの必然性や背景、作者の意思や感情に焦点が当たり、その結果、審査員の心をより動かした作品が大賞、優秀賞を受賞。特別賞には、個性が際立った4作品が選ばれました。各賞の名前は、それぞれの作品の魅力を表しています。審査員からは「明らかに単なる意匠勝負ではなかった」「審査というよりも、自分も一緒に考えていく気持ちになった」という発言もありました。


セレモニー後のパーティーでは、ファイナリストと審査員が、審査で伝えきれなかった思いを熱く語り合う場面も。ファイナリストの未来、そして今後のアワードへの期待感で熱気を帯びた空気の中、第8回サンゲツデザインアワードは幕を閉じました。


デザインに携わる方、そして壁と過ごす全ての方にとって、壁の新たな可能性を考える小さなきっかけになることを願っています。そして、”デザインする喜び”を感じていただけたら幸いです。2025年度のサンゲツデザインアワードも、たくさんの方からの応募をお待ちしております。

最終審査およびセレモニーの様子は、YouTubeのライブ配信後のアーカイブでご覧いただけます。